診療現場からの報告

第244話:理想の妊活 [カウンセラー/森下]

妊活でタイミング法を採用されているご夫婦で、ご主人さんがED気味であるために性交渉を月一回に絞って行っているというご夫婦は多いと思います。
実はコレ、大きな間違いなんです。
精子は、睾丸で約74日間かけて作られます。
作られた精子は精巣上体、精管へと14日かけて運ばれ精嚢の分泌液と混じり合います。その混合液が前立腺に送られて、ようやく精液の完成です。90日近い歳月を経て精子は作られていることになります。
つまり、精子の質を上げるためには、最低でも3か月以上はかかるわけです。
こうして作られた精子でも、質が悪ければ受胎しにくくなってしまいます。精子の質に影響を及ぼすものには、タバコ、お酒、ストレス、睡眠不足、ビタミン不足、亜鉛不足、タンパク質不足などが挙げられます。
規則正しく食生活を送り、しっかり睡眠をとる。ストレスをためないリラックスした生活を3か月以上継続すれば、精子は徐々に質の良いものに入れ替わっていきます。
ただし、いくら質のいい精子でも72時間以上溜め込んだ精子は運動率と奇形率が上昇し、逆に受胎率を下げてしまういます。
冒頭にあげたように月1回の性交渉では、せっかくタイミング法をとっているのに最適な妊活ができているとは言えません。
また、ご主人がEDで悩まれておられる場合、「性行為の頻度を月1回にして爆発させれば上手くいくだろう!」という考えを持たれる女性がおられます。
お気持ちはわかりますが、これも逆効果です。
月に一度の性行為、しかもタイミング法を採っているわけですから、男性には過度のプレッシャーがかかります。「プレッシャー」=「ストレス」という話は以前からしてきましたが、こうした安易な考えでEDの症状を悪化させているご夫婦も少なくありません。
理想の妊活とは、、、
月1回ではなく2〜3日に1回は性行為を行い、精子を常に新鮮な状態にしておく。
そんな頻度は難しいうご夫婦は、マスターベーションを織り交ぜても構いません。
月に数回は性行為を行い、排卵日にもあわせた性行為も行う。
ご主人さんがEDで悩まれている場合は、バイアグラをはじめとするED治療薬を使用する。
こういった活動になるのではないでしょうか。
日本人男性の精子の数は10%減少しているそうです。
妊活中のご夫婦には、チョット立ち止まって考えてもらえればと思います。