Johnson&Johnson社とその子会社によって開発が進められていた早漏治療薬が昨年12月にFDAの認可を受けていて、日本でも近く認可される見通しのようです。
早漏に対しては、麻酔成分を利用した噴霧スプレーや、サプリメントは存在しますが、本格的な医薬品の登場はこれが始めてです。これまでも、早漏に対する対処については幾つかの方法があり、当然受診者の方それぞれで、その治療法は異なるのですが、このダポキサティンの登場によって、早漏治療の幅は大いに拡がるように思います。
このダポキサティンについての、新しいニュースを以下に記載しておきます。ご参考まで
『早漏症の治療にDapoxetineが有用である可能性』
「Dapoxetineは短時間作用型選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)で、特に早漏症の治療を目的として開発されたものである」とミネソタ大学のJon L. Pryor, MDらDapoxetine研究グループの研究者らは記述している。「この薬剤の作用機序は、ニューロンでのセロトニン再取り込み阻害とその結果生じるセロトニン活性の増強に基づくものと考えられている。うつ病の治療に認可されているSSRIが安定血中濃度に達するのに2週間あるいはそれ以上要するのと比較して、Dapoxetineは特異な薬物動態プロファイルを有しており、短時間(約1時間)で最高血清中濃度に達した後、速やかに排泄される(初期血中半減期1.2時間)。
合衆国内の121施設において、二つの同じデザインの12週間ランダム化二重盲検プラセボ対照第3相臨床試験が独立かつ併行して実施された。中等症ないし重症の早漏症で異性パートナーと安定した関係にある男性患者が、プラセボ(870人)、Dapoxetine 30mg(874人)、あるいはDapoxetine 60mg(870人)の投与(必要に応じて、予想される性的行為の1~3時間前に内服)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、ストップウォッチで計測した膣内射精潜時(IELT)ならびに安全性・認容性であった。
Dapoxetineはいずれの用量でも、プラセボと比較して有意にIELTを延長した。プラセボ群、Dapoxetine 30mg群、Dapoxetine 60mg群のそれぞれにおいて、治療開始前のIELTは平均0.90 ± 0.47分、0.92 ± 0.50分、0.91 ± 0.48分であったが、研究終了時点(12週あるいは最終外来診察時)ではIELTは平均1.75 ± 2.21分、2.78 ± 3.48分、3.32 ± 3.68分であった。いずれのDapoxetine用量でも初回投与時にすでに有効であった。
Dapoxetine 30mg・60mg群のそれぞれにおいてよく見られた有害事象は、嘔気(8.7%対20.1%)、下痢(3.9%対6.8%)、頭痛(5.9%対6.8%)、めまい(3.0%対6.2%)であった。
「オンデマンドでのDapoxetineの投与は、中等症ないし重症の早漏症男性に対する有効かつ概ね良好な治療法である」と著者らは記述している。「早漏症のために起こる苦悩や対人関係の困難さを考慮すると、特に最重症の早漏症患者に対しても有効な治療法が利用可能であることは、早漏症男性の受診を促し、その結果、男性とそのパートナーに大いに利益をもたらしうるものである」。
この研究の問題点は、より軽症の早漏症患者あるいは勃起障害が共存している患者、その他の原因による二次的な早漏症患者にまで一般化できないこと、研究対象がほとんど若い白人患者に限られていたことが挙げられる。
Lancet. 2006;368:894, 929-937.