心斎橋中央クリニック

タイトル「診療現場からの報告」

第161話:女性用バイアグラ 2 [カウンセラー/森下]

一般名を「フリバンセリン」、商品名を「Addyi」という薬を御存知でしょうか。
今年の8月にアメリカで承認された女性用バイアグラと呼ばれる薬です。とはいってもバイアグラのように身体機能に直接作用するわけではなく、抗うつ剤などと同様、脳の中枢神経系に働きかける薬となります。
女性用バイアグラについてのお問合せは以前より度々あったのですが、これまでは「ウーメラ」のような疑わしいものばかりでした(第102話:女性用バイアグラ?)。それが、遂に正真正銘の医薬品といえる女性用バイアグラが登場するわけです。成人女性の約1/3が経験しているという性的欲求低下障害(HSDD)。必然的に注目が集まることでしょう。
さて、この女性用バイアグラフリバンセリン」ですが、元々は抗うつ剤として研究・開発された薬でした。
2009年に副作用である性欲亢進がHSDDに効果があるとして発表されて以来、3度に亘る申請でFDA(アメリカ食品医薬品局)の承認を得ることができました。とはいえ先の2回の申請で問題視された重篤な副作用が無くなったわけではありません。慎重な使用が求められます。
アメリカでは10月17日より許可を受けた薬局でのみフリバンセリンの取り扱いが開始されたはずですが、日本国内で憂慮せねばならないのが“個人輸入”“通販”による偽造品の流通です。バイアグラの時もそうでしたが、個人輸入等によって「服用してはいけない方」「服用方法を間違った方」等による事故が考えられます。
女性にとって性の問題は男性以上にデリケートな問題です。バイアグラがそうであるように、通販や個人輸入でフリバンセリンの入手を希望される方が多いのではないでしょうか。中には媚薬感覚で女性に使用するために購入を検討する男性もいるかもしれません。どちらにせよ、こうした購入はもってのほかです。
フリバンセリンには併用禁忌の薬剤が多数あります。そしてアルコールとの併用は禁止されています。食事・飲酒からの流れで服用して性交渉にというケースが容易に想像できます。
下手をすると暫くは女性用バイアグラ「フリバンセリン」の悪いニュースが流れてくるかもしれませんね。
ちなみに、フリバンセリンには劇的な効果は求められません。毎晩、服用を続けることで、時間をかけて効果が現れます。
臨床試験前の調査では満足のいく性行為の回数が平均2.7回/月だったものが、フリバンセリンを服用した女性では平均1.7回増/月。偽薬を服用した女性は平均1.0回増/月となったようです。

 

<< 前ページ 次ページ >>


--------------

TOPページへ戻る

休診日アクセス費用
WEB問診ご予約ご相談

Copyright©2008 心斎橋中央クリニック All Rights Reserved.