バイアグラをはじめとするED治療薬には併用禁忌薬と言われる、絶対に併用してはいけない薬があります。このため、ED治療薬の処方に際して、服用中の薬剤の確認は怠れません。
先日、来院されたご年配の男性で、心筋梗塞の既往歴があるという方が居られました。
心筋梗塞といっても10数年前のことで、ED治療薬の服用にあたっては問題がありません。服用されている処方薬の確認をすると、バイアスピリン、ロサルタン、ニコランジル、アムロジピン、胃腸薬という内容でした。
この中のニコランジルというお薬は、バイアグラ、レビトラ、シアリスの全てが併用禁忌薬に指定されています。患者さんにはニコランジルを服用している限りED治療薬は使えないと説明して、ニコランジルを他の併用可能薬に変更できるのかを確認していただく事にしました。
本日、患者さんから明るい声で「薬をフランドルテープに変更をしてもらえました」という連絡をいただきました。このフランドルテープも、ニコランジル同様バイアグラ、レビトラ、シアリスの全てが併用禁忌薬と指定されています。患者さんは薬を変えたい理由を担当医に伝えたそうですが、何故か再び併用禁忌薬が処方されました。患者さんに事情を説明すると、少し落胆されていました。当然です。
「仕方ないので病院に戻ります。」と、患者さんは再度担当医のもとに戻って事情を説明されたのですが、今度は他の薬はないという事でした。担当医はベテランの経験豊富なドクターと聞いていただけに、ちゃんと患者さんの話を聞いてるの?と驚かされました。
ED治療薬を服用出来るかどうかは、命を扱う事に比べたら軽い話に思われたのかもしれません。しかし患者さんのQOL(クオリティー オブ ライフ)を考えれば重要な問題です。医療の現場について、ちょっと考えさせられてしまった瞬間でした。