第355話:AGAのSNS広告 [カウンセラー/森下]

最近、SNS等でAGAの広告をよく見かけます。仕事柄、気になって見てしまうので、余計に表示頻度が上がっているのだと思います。
興味本位で広告からサイトにアクセスしてみると、紹介される薬は国内承認薬(フィナステリド、デュタステリド)にオリジナルのパッケージを被せているだけのものから、恐らく海外製と思われるものまで様々です。
こうしたWEB広告では、次の様なキャッチーなワードがやたらと使われます。当然、見れば見るほど「???」という物が多い気がします。
① 『国内承認薬を〇〇%OFF』
保険適用外の薬なので、薬価は決まっていません。なので、〇〇%OFFと言うならそうなのでしょう。ただ、国内承認薬では絶対にありえない価格の物もあったりします。
また、国内承認薬と言いながら、デュタステリドにミノキシジルを配合している物もありました。これは国内承認薬ではありません。承認はデュタステリドという成分に対してされるのではないからです。薬としての安全性・有効性、品質などについて、製造工程などから厳しくチェックされた特定の製薬会社の製剤が承認されます。
そもそもミノキシジルはAGAの治療薬としてどころか、服用薬としても国内では承認されていません。
② 『発毛効果1.6倍の新薬』
決して他院より効果がある薬を扱っているという事ではありません。フィナステリド(プロペシア)とデュタステリド(ザガーロ)の効果を比較しているだけです。しかも、新薬とは先発医薬品に対して使われる呼称です。発売開始から10年近く経過しているザガーロのジェネリックであるデュタステリドを新薬というのは間違っているように思います。
③ 『発毛実感率98.1%』
調べてみると、プロペシアの製造元であるオルガノンが公表している臨床試験のデータに次のような記載がありました。
プロペシア(フィナステリド)を1年間服用して症状の進行を感じた方は1.5%、3年間服用した方では2.0%。恐らくこの事を書いているのだと思います。ただ、以前公表されていた別の臨床データでは1年間の効果測定だと60%弱だったような気がするのですが…。
まぁ、測定方法にもよるでしょうし、後者の場合でも5年で99.4%の効果が実感できたという結果となっていたはずです。
以前に比べて露骨で過剰な表現は減っていますが、相変わらすネット上では胡散臭い広告が当たり前のように流れています。しかも、知識がないと信じてしまうような狡猾なものが増えています。
皆さんご注意ください!!