第357話:スーパーフィナステリドは違法? [カウンセラー/森下]

「スーパーフィナステリド」は、国内承認済みのフィナステリド1mgより高用量(1.3mg)で、「より強い効果が期待できる」とされています。以前から個人輸入や通販で流通していましたが、最近では一部の医療機関において処方されている事例も見受けられます。
しかしながら、「スーパーフィナステリド」は日本国内では
承認されていません。
実際に処方を行っている医療機関のホームページでは、次のような説明が掲載されていました。
①海外製薬メーカーと提携協力によって、国内未承認薬「スーパーフィナステリド1.3mg」を供給
②スーパーフィナステリド1.3mgを処方する医療機関は、まだまだ限られている
③海外個人輸入品は偽物の可能性が高く、必ず正規医療機関で処方を受けるべき
一見すると信頼性が高そうに見えますが、「
海外メーカーとの提携」や「
正規医療機関」という表現は、医薬品としての安全性や合法性を
保証するものではありません。
日本では、承認されていない医薬品(未承認薬)の使用や販売は原則禁止されています。ただし、一定の条件を満たす場合に限り、医師は患者の診断・治療のために未承認薬を輸入・使用することができます。
その条件は次の通りです。
『治療上緊急性があり、国内に代替品が流通していない場合であって、輸入した医療従事者が自己の責任のもと、自己の患者の診断又は治療に供すること』
(参考:
厚生労働省:医薬品等の個人輸入について)
つまり、患者さんの生命に関わるような緊急性があり、かつ国内承認薬に代替手段が存在しないケースに限り、医師は未承認薬を使用できるということです。
AGA治療は生命に関わる疾患ではなく、緊急治療を要する病態でもありません。加えて、国内にはフィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(ザガーロ)といった承認済みのAGA治療薬が、既に流通しています。このような状況において、スーパーフィナステリドを輸入・処方する合理的な理由は見当たりません。
さらに見過ごせない重要な点として、「輸入した医療従事者が自己の責任のもと」という条件があります。
国内承認薬であれば安全性が国によって審査・保証されており、万が一重篤な副作用が生じた場合には、「医薬品副作用被害救済制度」による補償の対象となります。(参考:
PMDA:医薬品副作用被害救済制度とは)
一方、スーパーフィナステリドのような未承認薬は、品質・有効性・安全性について国の保証がなく、健康被害が生じた場合であっても、同制度による救済を受けることはできません。これは、たとえ海外で承認されている医薬品であっても同様です。
AGA治療薬は、長期間にわたる服用を前提としています。このような治療において未承認薬を使用することは、患者さんにとって大きなリスクを伴います。仮に健康被害が生じた場合、医療機関が「自己責任」で対応することが許されるのでしょうか。
医薬品は、適切な医療機関において、国が承認した医薬品の処方を受けることが原則です。
なお、フィナステリドより強い効果を求めるのであれば、国内承認薬であるデュタステリド(ザガーロ)の使用をご検討ください。未承認薬に頼る必要はありません。
※ED治療薬についても同様です。
| 比較項目 |
フィナステリド |
スーパーフィナステリド |
デュタステリド |
| 容 量 |
1mg |
1.3mg |
0.5mg |
| 国の審査・承認 |
あり |
なし |
あり |
| 品質保証 |
あり(※) |
不明 |
あり(※) |
| 副作用救済制度 |
適用あり |
適用なし |
適用あり |
| 効 果 |
A |
A+(?) |
A++ |
※PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 )によって、薬理作用、副作用のリスク、使用方法、製造過程といった、「品質・有効性・安全性」を目的とした厳格な審査を受けています。
Copyright©2008 心斎橋中央クリニック All Rights Reserved.