診療現場からの報告

第14話:答えようが無い? [カウンセラー/川畑]

今回、来院されたのは50代後半の真面目で優しそうな方です。
2週間程前に奥さんと性行為があったらしいのですが、その後奥さんの方に膿みや痛み等が出てしまい検査した結果、淋病と診断されました。御主人の方にはまだ何の症状も現れてはいませんが、夏休み中でもあり、お孫さん達が遊びに来るらしく万一お風呂で感染などさせやしないかと心配になり、慌てて来院されたのです。(お風呂では感染しませんので、ご安心を)

何事も無く一通り検査も終わり1週間後の検査結果が出る日、検査結果に目を通すと何の疑いも無い程、綺麗な状態。淋菌のカケラ等全く見当たりませんでした。普通は、悪い結果をお伝えするのは正直いい気分にはなれないものですが、今回はいつもと違い『何も無くて良かった!患者さんも喜ぶだろうな』と思っていたのですが、想像とは全く反対の反応に戸惑ってしまいました。

普段、検査結果で菌が見つかった場合は皆さん『あぁ?あ!』なんて暗くなる方は居るのですが今回は良い結果が出たにもかかわらず・・・ 

“はぁ・・・”と深い溜め息の後、『うちの家内が他所でもらって来たと言うことでしょうか?』との問いに・・・ 答えが見つかりませんでした。

僕が患者さんとお話する時に一番気を付けている事の一つに、“打てば響く”を心掛けています。出来るかぎり患者さんの質問には適格に答えていくようにしているのですが・・・ まだまだこれから経験を積んでいかなければ。