アンチエイジングとED
■アンチエイジングとしてEDを考えてみると
当院にED(勃起障害)の治療にお越しになられる男性の年齢は、若い方だと20代、 そして、上は80代までいらっしゃいます。
ただ、世間一般の傾向としては、やはり、年齢とともに、EDの発症率は高くなるよ うです。例えば、全く勃起しない完全型のEDだけでなく、勃起しないこともあると いう中等症EDも含めると、40代で20%前後、50代で40%前後、そして、 60代では60%前後にまでなるとの報告があります(※1)。
高齢化社会まっしぐらの日本では、これまでもED人口の増加傾向は伝えられていま すが、ますます、今後のその傾向が強くなっていくでしょう。
つまりは、EDは、年齢による身体の機能の衰え(エイジング)の1つとしてとらえ られるわけで、女性版アンチエイジングは、“いつまでも美しく”が一番のテーマに なもに対して、男性版アンチエイジングは、“いつまでも強く逞しく”ということに なるかと思います。
■生活習慣病としてのED
その昔、EDと言えば、ほとんど「心の問題」と片付けられていた頃もありました。
ところが、メタボが流行語になるこのご時世、肥満や喫煙などの生活習慣が、EDの リスクを高めたり、EDの男性は、将来的に生活習慣病を発症しやすいとの研究報告 が相次いでいます。
そもそも、勃起する力は、陰茎への血流量に左右されます。
ですから、メタボやタバコで、血液がドロドロ、そして、血管の柔軟性がなくなって いくと、勃起力が低下するのも当然と言えば、当然です。
泌尿器科の権威である帝京大学の掘江教授は、講演や著書の中で、「EDは自分で気 づく最初の生活活習慣病である」とまで、指摘されています。
実際に、アメリカの調査で、36歳から45歳のEDの男性で、高血圧や高脂血症、 糖尿病などの生活習慣病のどれかがある割合が、10年前は、34.5%だったのが、 なんと、63%に急増しているとのこと。
確かに、バイアグラなどのED治療薬は、てっとり早く、男性を回復させてはくれま す。それは、もうドラマティンクな効果があります。
ところが、それは、あくまで、対照療法的です。心因性のEDなどで、お薬できっか けを得て、改善されるようなケースは別として、生活習慣を改善することが大切です。
■男性ホルモンと抗酸化力を高めるのがポイント
年齢とともにさまざまな身体の機能が低下する、すなわち、老化は、大きくは、ホル モンや自律神経のバランスが変わっていくこと、また、細胞内では、活性酸素をはじ めとするフリーラジカルによる細胞の酸化が主因とされています。
勃起する機能の低下も例外ではありません。悪玉コレステロールが酸化することで、 血管内の血液が流れるところが狭くなり、血液が流れにくくなるからです。つまりは、 動脈硬化がおこるのですが、その影響は、まずは、陰茎動脈から起こるのです。ED が、自分で気づく最初の生活習慣病とされるゆえんです。
ご参考に 診療現場からの報告
- 第125話:脱メタボ!脱ED![14/4/26]
- 第93話:脱EDでアンチエイジング[13/2/23]
- 第88話:歯茎のケアがED予防になる!?[12/9/17]
- 第81話:レスベラトロールとED治療薬の併用について[12/9/21]
- 第79話:ED治療薬(PDE阻害薬)が効かない、と言われる方へ[12/5/26]
- 第78話:「バイアグラ エキスパート フォーラム」から[11/10/27]
- 第77話:EDと睡眠障害[11/05/19]
- 第75話:レスベラトロールでEDが改善?[10/06/02]
- 第74話:“ストレス”が(EDに)与える影響について[10/02/11]
- 第73話:カラダの変化に気づいたら[10/01/20]
- 第67話:EDと男性不妊[09/10/29]
- 第65話:“大脳辺縁系”の話[09/10/14]
- 第63話:“男性の寿命を延ばす13の方法”から[09/7/28]
- 第61話:EDと肥満[09/6/15]
- 第58話:男性に更年期障害?[09/6/1]
- 第57話:“朝立ち(夜間勃起現象)”について[09/5/24]
- 第48話:ED処方は問診のみです。[08/9/13]
- 第42話:性欲の低下について:“マカ”って何? [08/3/16]
- 第40話:ED治療で来院される方の傾向 [08/2/14]
- 第5話:諦めないで!男はいつまでも現役 [04/10/15]