診療現場からの報告

第138話: クラミジア注意報 [カウンセラー/森下]

今年の秋は、例年に無く性感染症、特にクラミジアに感染された方の来院が多かったように感じます。

以前は、淋菌の感染で来院される方が多かったのですが、ここ数年はクラミジアでの来院が多数を占めています。

淋菌に感染した男性の場合、数日で膿のような分泌物が尿道口から出ると共に、排尿痛や尿道口の腫れといった症状がみられます。明らかな自覚症状があるため、皆さん発症後すぐに来院されます。これに比べてクラミジアに感染した場合は、潜伏期間が1週間〜3週間と長く、自覚症状も少ないため気付かないうちにパートナーに感染しており、急性精巣上体炎、精嚢炎、咽頭炎、前立腺炎、直腸炎を引き起こすケースも少なくありません。

男性がクラミジアに感染した場合、次のような症状がよく現れます。御注意下さい。
・尿道のムズムズした違和感。
・軽い排尿痛(沁みる様な痛み)。
・排尿時の違和感。尿道の痒み。
※これらは典型的な症状です。潜伏期間が短い方。自覚症状がない方、排尿するのが怖いほど痛い方。数日で自覚症状が消える方もおられます。症状が強い場合には尿道から透明〜白色がかった分泌物でたり、射精時痛を感じることもあります。

問題は女性がクラミジアに感染した場合です。女性の場合、多くが無症状で感染の自覚がありません。なかには排尿痛、排尿時の違和感、おりものの変化を感じる場合もあります。しかし、すぐに症状がなくなるため気が付かず、子宮頸管炎、卵管炎、子宮外妊娠や不妊症の原因となってしまいます。

感染経路は性交渉(オーラルセックスを含む)が中心になりますが、感染者とのタオルの共有によって感染するといった可能性もゼロではありません。

クラミジアをはじめとする性感染症に感染していると、HIV(エイズウィルス)にも感染しやすい状況となります。性感染症の多くはコンドームの装着によって防ぐことは可能です。

年末年始や春、夏の長期休暇の時期は感染者が増える傾向にあります。
避妊だけでなく、こうした性感染症を予防するためにもコンドームの装着を心掛けましょう。

ちなみに血液検査で分かるクラミジアの検査は、これまでにクラミジアに感染したことがあるかどうかの検査となります。
現在感染しているかの判別には、核酸増幅法(PCR法、LCR法)などを用います。尿や分泌物を検体として用いることができる検査方法で、当院でもこの検査方法を採用しています。