診療現場からの報告

第103話: 不妊治療(タイミング法)でEDに? [院長/西川]

30代半ばから40代の方で当院に来院される方の中に、奥様が不妊治療を始れられた事がきっかけでどうもセックスがうまくいかない、と言う方が沢山おられます(驚くほど多いのです)。

結婚されて3年5年と経過するのに子供を授からない、奥様のほうがしびれを切らせて(不安になってきて)不妊外来を受診する。
概ね卵子には問題なさそうなので、まずは“タイミング法”で始めましょう、と言う担当医の指導によって、さあこの日とこの日にセックスして下さい、という事になって、、、

まあこのような経緯で、このようなタイミングで、どうもEDになったようだ、と来院される方が沢山来院されるのです。

不妊専門の先生方には悪いのだけれど、この“タイミング法”ってそれほど効果的なのだろうか。実はもの凄く不自然じゃないだろうか。
それよりも全く無意味だって事は、人工妊娠中絶の数と不妊治療で生まれてくる数を比較すれば一目瞭然じゃないだろうか。

セックスは、本質的には“したい”からするもので、視覚や嗅覚やいろんな感覚器から性的刺激を受けると、大脳辺縁系にある性中枢から命令が下って、勃起して持続して射精して元に戻るように出来ているんだけれど、この性中枢ってのは、とても原始的というか反射的なもので、それ故ストレスには滅法弱い中枢です。
性交渉についてのあまり専門的な説明は省きますが、やはり“したい”からするものであって、決して子供を作る目的でするものではなくて、結果としてのものでしかない筈です。

本末転倒な行為はどうも不幸をもたらすだけのように思います。