診療現場からの報告

第107話: 性交渉とアンチエイジング [カウンセラー/森下]

男女問わず、加齢に伴い性欲は減少しがちです。
特に男性は60代半ば、女性は50代半ばでこうした傾向が顕著になります。

女性における主な要因としては、更年期による急激な女性ホルモンの減少が考えられます。
男性の要因としては、やはりED(勃起不全)によるところが大きいといえます。EDは糖尿や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病と密接な関係にあるため、生活習慣病を発症しやすい中高年の男性がEDを発症し性欲が低減するのも理解できます。

『配偶者との性交渉の頻度』調査(日本性科学会「40代〜70代セクシュアリティ1000人調査」)によると、65歳以上の男性では性交頻度が年間0〜数回しかないという方が全体の半数以上を占めています。また、逆に週1回以上の性交頻度を保っておられる方は5%程度となります。

当院に来られる65歳以上の患者様でも、ED治療薬の使用頻度が非常に高い方がおられます。全体からすれば少数なのですが、そうした方々は同世代の方々と比較しても、非常に若々しくバイタリティに溢れておられます。

実は、性行為をはじめとする異性への関心は“性ホルモン”を活性化させます。この性ホルモンは体調にも大きく影響を及ぼします。よく「恋をしている女性は綺麗になる」といいますが、コレはあながち嘘ではありません。活性化した性ホルモンが副腎皮質ホルモンを刺激し、肌の艶をよくしているからなんです。

また、性交渉によって精神的な満足感・充足感を得ると、体内でβエンドロフィンという物質が生成されます。このβエンドロフィンはドーパミンやセロトニン(第101話 セロトニンってなに?)を刺激することから脳細胞が活性化していきます。

皆さんがイキイキされているのがよく分かります。

ちなみにβエンドロフィンは脳内でストレスホルモンを駆逐するという働きもあります。

ED治療薬を飲みEDの症状を改善する。マカを使用して性的欲求を高める。「そこまでしなくても・・・」と考える方もおられると思います。しかし上記のような点を考えれば、充分それだけの価値はあるのではないでしょうか。
齢を重ねたご夫婦ほど肌のふれあいは重要です。ふれあいがあって初めて伝わることもあります。
性交頻度が低下しているご夫婦は“アンチエイジング”“コミュニケーション”という両方の面から、ED治療薬やマカの使用を検討されてはいかがでしょうか。