診療現場からの報告

第143話: Let's 入浴♪ [カウンセラー/森下]

住宅設備が整った住まいに居住されている方が多い昨今、入浴をシャワー浴で済まされている方も多いのではないでしょうか。 季節によるかもしれませんが、皆さんはシャワー派、入浴派どちらでしょうか?

実は、入浴には身体の汚れを落とすだけでなく、次のような3つの大きな効果があります。
@温熱作用
入浴により体が温められることによる効果です。
熱めのお風呂(41℃〜43℃)に入った場合、交感神経が刺激され心身ともに活動的になります。朝風呂で目が覚めるといった効果がまさにこれです。他にも血管の拡張により血流がよくなり、肩こりの改善や疲労回復も図れます。 ぬるめお風呂(38℃〜40℃)に入った場合、副交感神経が刺激され心身ともにリラックスできます。睡眠前に入浴することで、質の高い睡眠がとりやすくなります。なお、ぬるめのお風呂で身体を温めた方が、入浴後も長時間にわたり血管拡張作用が続き体が冷え難くなるので、冷え性の方にもおすすめです。
A浮力作用
水中では浮力によって筋肉や関節の緊張が弛緩します。浮力が重力を相殺することで体重が軽くなり、筋肉や関節の負担が減少するためです。
B水圧作用
水圧によって四肢から血液やリンパ液が押し戻されることで、全身の血液やリンパ液の循環が良くなります。

さて、気付かれましたでしょうか?
入浴には“血管拡張作用”があるんです。

皆さんが普段服用されているED治療薬バイアグラレビトラシアリスは、その血管拡張作用によってEDの症状を改善するというお薬です。血管拡張の程度は違えど、入浴にもED治療薬バイアグラ、レビトラ、シアリスと同じような効果があるわけです。

昨今、生活様式が変わったことで、入浴の機会が減少しています。私たちは気が付かないうちに血管拡張の機会を減少させてしまい、血管拡張機能そのものを退化させつつあるのかもしれません。そう考えれば近年のED治療薬服用者の増加に納得がいきます。(ちょっと極端な考え方かもしれませんが(笑))。

手軽にシャワーだけで済ますのも悪くは無いですが、たまにはきちんと入浴されてはいかがでしょうか?
より効果的な入浴方法については、改めて御紹介させていただこうと思います。

(参考)
第70話:勃起のメカニズム