第203話:EDにはiQOS(アイコス)? [カウンセラー/森下]
最近、iQOS(アイコス)、Ploom TECH(プルーム・テック)、glo(グロー)といった加熱式タバコが著しくシェアを伸ばしています。従来のタバコに比べ安全性が高く、匂いも少ないという2点がシェア拡大の大きな要因となっているように思われます。
iQOSの製造元であるフィリップモリス社によると、紙巻きタバコは摂氏600度で葉を燃やし、その煙に有害物質が含まれるとのことです。対してiQOSは摂氏350度で葉を加熱し、ニコチンを含む蒸気を発生させます。紙巻きタバコのように有害物質を含む煙が出ないため、従来の紙巻きタバコよりも安全性が高いということです。
ところが今回、このiQOSに関して安全性に疑念が生じる研究結果が米国心臓協会年次集会で発表されました。
これは米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医学部循環器内科学教授のMatthew Springer氏らのグループによるラットを使った研究結果で、iQOSの蒸気も紙巻きタバコの煙も曝露すれば同程度に血管内皮機能が低下するというものです。
この研究はラットに『iQOSを加熱した蒸気』『紙巻きタバコの煙』『清浄な空気』のいずれかを、曝露(5分間で15秒間×10回)させた上で、血流依存性血管拡張反応(flow-mediated dilation;FMD)検査により血管内皮機能を評価するというものです。
結果、血管内皮機能はiQOS群で58%、マールボロ群では57%の血管内皮機能の低下が認められました。また、曝露を5分間で1回5秒間×10回にしてもiQOS群で60%、マールボロ群では62%の低下が認められ、iQOSの蒸気もタバコの煙と同程度に血管内皮機能を低下させる結果となりました。
これまでもお伝えしていますが、血管内皮機能は勃起機能と密接な関係があります。
EDでお悩みの方には、健康面や勃起機能への影響を鑑みて紙巻きタバコからiQOSに変更されたという方もおられます。今回の発表は、非常に残念な内容であったと言わざるを得ません。
ただし、今回の研究はあくまで血管内皮機能についての研究結果です。従来の紙巻きタバコとの有害性の差異を全般的に調べたものではありません。今後、加熱式タバコと紙巻きタバコの比較がなされれば、他の有害性については今回の研究結果とは異なる結果になる可能性もあります。現時点では、あまり悲観する必要はないのかもしれません。
まぁ、紙巻きタバコにしろ、加熱式タバコにしろ愛煙家の方は、減煙(禁煙)されるのが一番良いという事は確実なのですけどね。
(参考)
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