診療現場からの報告

第205話:ED治療で不妊治療 [カウンセラー/森下]

ストレスや肥満がEDの原因であるという事は、なんとなく知っておられる方も居られるのではないでしょうか。当サイトでも、これまで生活習慣病やメタボ(肥満)とEDの関係性について、度々記述してきました。
EDに限ったことではありませんが、肥満が健康に様々な影響を及ぼすという事は周知の事実です。それが今回、肥満が男性不妊の原因にもなり得る可能性が研究で明らかになりました。

インドの不妊治療施設クリシュナIVFクリニック生殖補助センターのGottumukkala Achyuta Ramaraju氏は、2016年に不妊治療で同センターを訪れた男性約1,285人の精子に対して、コンピュータ査定による精子画像解析法(CASA)のデータに基づいく評価を行いました。結果、肥満(BMI30以上)の男性とそうでない男性では、精液の量、精子の数、濃度、運動率等が低いことが分かりました。
また、肥満男性の精子には形態異常がある精子の割合が高く、性交や体外受精による着床を困難にしている可能性があることも指摘されました。

米ノースウェルヘルス・ファーティリティのAvner Hershlag氏によると、肥満手術による大幅な減量で精子の質がある程度は回復することが示されているそうです。現在、減量による精子の質への影響の研究が進められていますが、早期データでは減量に伴って精子の質が改善する可能性が示唆されているという事です。

不妊治療に取り組む男性の中には、EDを発症している方が少なくありません。
タイミング法による心因性のEDの場合もあれば、生活習慣病が原因になっている事もあります。冒頭でも触れましたが、生活習慣や肥満から受けるEDへの影響は軽視できません。現段階で肥満と不妊の因果関係が実証されたわけではありませんが、肥満が精子の質にまで影響を及ぼしている可能性があるとなれば尚更です。

ちなみに、男性だけでなく女性も肥満によって妊娠しにくくなる傾向があるそうです。
妊活を機に、ご夫婦で休日にゴルフやサイクリングなどの運動をされるのも一つではないでしょうか。夫婦間のコミュニケーションアップ、ED治療、不妊治療に運動不足解消、ストレス改善にもなって良い事づくめですよ。

(参考)
第098話:妻だけED
第103話:不妊治療(タイミング法)でEDに
第116話: 奥様より