診療現場からの報告

第105話: 仮性包茎が真性包茎に?[カウンセラー/森下]

この春から夏にかけて包茎のご相談で来られた方で、仮性包茎だったのが包皮が剥けなくなったという方が結構おられました。

そもそも皮膚というものは弾力があるものです。仮性包茎の場合に見られるように、皮膚が伸縮することで亀頭部分の露出が可能となります。しかしながら皮膚は加齢により弾力を失っていきます。輪ゴムをイメージしてください。古くなるにつれ弾力は失われ、劣化して切れてしまいます。これは包皮においても同じことが言えます。亀頭を露出するためには、皮膚にある程度の弾力が不可欠です。

特にカントン包茎の方は部分的に皮膚が薄く締め付けの強い部分(絞扼輪)があります。絞扼輪の部分はただでさえ伸縮性がありません。そこに加齢が加われば亀頭の露出が困難になるのは当然です。中には亀頭は露出できても、性交の度に絞扼輪部分の皮膚が裂けてしまい苦痛を感じる方もおられます。

また、糖尿病を患っておられる方の場合、慢性化した包皮炎により疲労性皮膚炎を発祥し、皮膚の弾力性を失ってゆくケースがあります。包皮が弾力を失えば『仮性包茎』→『カントン包茎』→『真性包茎』と包茎の症状も徐々に進行してゆきます。

ちなみにカントン包茎は勃起時に絞扼輪部分に締め付けが生じるため、陰茎部分で循環障害を起こすこともあります。循環障害が生じると、亀頭はうっ血したように赤紫色に腫れます。また、絞扼輪部分の皮膚に亀裂が生じる事もあれば、最悪の場合、包皮が壊死することもあります。お心当たりのある方はお近くの医療機関にご相談されることをお勧めします。

※糖尿病患者様の場合、血行不良が原因で傷の直りが遅れがちです。また、免疫力の低下も否めません。このため治療には注意が必要となります。 治療をお考えの場合は、必ず糖尿病である旨を申し伝え下さい。