診療現場からの報告

第261話:バイオアルカミドを亀頭に注入 [カウンセラー/森下]

本日、他院で受けた亀頭増大について、相談を受けました。
5~6年前にバイオアルカミドを亀頭に注入されたそうですが、最近、注入部分にブツブツが浮き出てきたという事でした。また、ブツブツに触れると痛みを感じられるそうです。

当院でも亀頭増大は行っており、フィラー(注入剤)にはヒアルロン酸を採用しています。
ヒアルロン酸は、注入後、数年で水と炭酸ガスに加水分解して消失します。このため、注入にリスクはありません。近年では、安全性の高さからヒアルロン酸を使用するのが主流となっています。

しかしながら、一部の医療機関ではアクアミドやバイオアルカミド、シリコンといった半永久的に残る、非吸収性フィラーを注入しているケースがあります。
非吸収性フィラーは、確かにヒアルロン酸と違い、長期的な効果が得られます。しかし、リスクは決して小さくありません。遅発性の重篤な合併症を生じることもあれば、組織を変異させる場合もあります。また、除去しようにも様々な組織を巻き込んでいることも多く、除去に伴い広範囲に組織を失う可能性もあります。

非吸収性フィラーを注入されている医療機関のHPを見ると、リスクについては「過去に生じたトラブルは医師の経験不足による」「10年以上使っているが問題はない」といった説明がされているだけです。詳細な説明は無く、基本的に安全ですと主張されています。

非吸収性フィラーの注入には、基本的に高いリスクがあるとお考え下さい。 異物を体内に入れる場合、まず考えるべきことは安全性です。今回の方も、きちんとリスクについての説明があれば、施術を受けられなかったのではないでしょうか。