診療現場からの報告

第271話:バイアグラが飲めない [カウンセラー/森下]

処方を受けられている薬や健康状態にも拠りますが、ほとんどの方は問題なくバイアグラの処方を受けられます。
しかし、なかには服用してはいけない方も居られます。ED治療薬を処方するにあたり、医療機関は患者さん一人ひとりに対してきちんとヒアリングを行う必要があります。
本日バイアグラを求めて来院された患者さんも、その典型的なケースでした。
問診表には高血圧と指摘を受けたことがあると記載がありましたが、ご本人は「少し高い程度です。」と仰いました。医療機関では少し様子を診て考えようと言われているそうです。
この様に言われる場合、血圧は130~150/90~100mmHg程度であることがほとんどです。
とはいえ、念のために血圧を確認すると、なんと160/100~110mmHgという事でした。
ご本人からすれば、日常生活に何ら問題も無く、医療機関からも様子を見ていこうと言われただけです。自覚が無いのは当然かもしれませんが、160/100~110mmHgは治療を受けていてもおかしくないレベルの高血圧です。
バイアグラの処方も、“治療による管理ができておらず、安静時血圧>170/100 mmHgの方”へは禁止されています(レビトラ、シアリスも同様に禁止されています)。
高血圧の他にも脳梗塞心筋梗塞の既往歴、肝機能障害のある方、特定の処方薬を服用中の方など、薬を薬の処方が禁止されている要件がいくつかあります。基本的にバイアグラは安全性の高い薬ですが、医薬品である以上、安全に使用していただくためには一定の条件があります。
いくら処方できない方は滅多におられないとはいえ、処方する側の思い込みや気の緩みは厳禁だと再認識できた瞬間でした。