診療現場からの報告

第295話:ミノタブはこりごりです[カウンセラー/森下]

患者さんからゾッとする話を聞きました。
昨日、AGAのご相談に来られた患者さんから、カウンセリングで治療薬(ザガーロ、プロペシア、ミノキシジル)の副作用や危険性について色々と質問をいただきました。
治療薬は“薬”である以上、慎重になられることは良いことだと思います。ただ、少々ナーバスになられているようにも感じ、何があったのだろうと掘り下げてお話をお伺いすると…
やはり、ありました。
どうやら過去にミノキシジルタブレット(通称、ミノタブ)を服用して、副作用で怖いぐらい顔がパンパンに浮腫んで腫れたそうです。その時にミノタブについて調べ、安易に服用してはいけない薬だという事を知って、以来ミノタブは使っていないという事でした。
そんな思いをすれば、怖くなるのは当然です。
ミノタブは国内未承認薬であるうえ、海外でもAGAに対しての服用は認められていません。患者さんも安心安全が一番だと、デュタステリドとミノキシジル(塗布薬)を持ち帰られました。
当然、これらはAGA治療薬として承認された安全なものです。
参考にミノタブ(ロニテン)の「boxed warning」を載せておきます。
※「boxed warning」とは、FDA(アメリカ食品医薬品局)が発する警告の中で最も強いもので、医学的に深刻な、生命に関わる副作用を引き起こすリスクを伴うことが判明した場合に使用される警告文です。
■原文
LONITEN Tablets contain the powerful antihypertensive agent, minoxidil, which may produce serious adverse effects. It can cause pericardial effusion, occasionally progressing to tamponade, and angina pectoris may be exacerbated. LONITEN should be reserved for hypertensive patients who do not respond adequately to maximum therapeutic doses of a diuretic and two other antihypertensive agents.
In experimental animals, minoxidil caused several kinds of myocardial lesions as well as other adverse cardiac effects (see Cardiac Lesions in Animals).
LONITEN must be administered under close supervision, usually concomitantly with therapeutic doses of a beta-adrenergic blocking agent to prevent tachycardia and increased myocardial workload. It must also usually be given with a diuretic, frequently one acting in the ascending limb of the loop of Henle, to prevent serious fluid accumulation. Patients with malignant hypertension and those already receiving guanethidine (see WARNINGS) should be hospitalized when LONITEN is first administered so that they can be monitored to avoid too rapid, or large orthostatic, decreases in blood pressure.
■和訳
LONITEN錠には強力な降圧剤ミノキシジルが含まれており、深刻な副作用を引き起こす可能性がある。心嚢液貯留を引き起こし、心タンポナーデに進行する可能性があり、狭心症が悪化する可能性がある。利尿薬と他の2つの降圧薬の最大治療用量でも十分な効果が得られない高血圧患者に使用すること。
実験動物では、ミノキシジルは数種類の心筋病変やその他の心臓への悪影響を引き起こした(動物の心臓病変を参照)。
LONITENは、頻脈と心筋の負荷の増加を防ぐために、通常は治療用量のβアドレナリン遮断薬と併用して、厳重な監視下で投与する必要がある。また、深刻な体液蓄積を防ぐために、利尿剤と併用する必要がある。多くの場合、ヘンレ係蹄の上肢に作用します。悪性高血圧症の患者およびすでにグアネチジンを投与されている患者(警告を参照)は、LONITENの初回投与時は、血圧の急激な低下を回避するために入院する必要がある。
<参考>
  • 第243話:ミノキシジル服用は“要注意”