診療現場からの報告

第323話:切らない(?)カントン包茎治療 [カウンセラー/森下]

「皮膚を切除せずにカントン包茎を治せますか」、といった内容のお問い合わせをいただきました。
カントン包茎とは包皮の先端部分の開口が狭く、亀頭を露出させたときに亀頭や陰茎に締め付けがあるタイプの包茎です。なかには締め付けが強く、無理に亀頭を露出させて包皮が元に戻らなくなり、亀頭が腫れてしまうこともあります。
通常、カントン包茎の治療では締め付け部分(絞扼部分)を環状に取り除きます。今回いただいたご相談は、こうした切除を行わずにZ形成術で治療を行えるのかというものでした。
Z形成術とは、図のようにZ型に皮膚を切開し、切開した傷の頂点を入れ替えて縫合するという物です。分かりにくいかもしれませんが、これにより皮膚を伸長させることが出来ます。
< Z型形成法イメージ >
Z形成法
Z形成術で絞扼部分の皮膚を伸ばして締め付けを緩めれば、カントン包茎の改善は見込めます。ただ、カントン包茎が改善しても付随するもう一つの問題が残ってしまいます。
もう一つの問題とは、絞扼部分の皮膚の裂傷です。
絞扼部分は皮膚が薄いため、性行為等で負担が掛かると皮膚が裂けることがあります。Z形成術で絞扼部分の締め付けを解消したとしても、皮膚の厚さは変わりません。このため、性行為で絞扼部分に裂傷ができる危険性は、手術前と変わりません。
ちなみにこの絞扼部の裂傷を改善するには、絞扼部分の皮膚を環状に切除することが効果的です。
今回の患者さんにお悩みを詳しくお伺いすると、締め付けだけでなく絞扼部分にできる皮膚の裂傷についても悩まれておられました。上記の内容を説明すると理解していただけたようで、再検討して連休にカウンセリングの予約を取りますとのことでした。