診療現場からの報告

第259話:ミノキシジルが効く理由 [カウンセラー/森下]

ミノキシジルが発毛を促すのはなぜなのでしょう?

もともとミノキシジルは、血管を拡張させる高血圧の治療薬でした。
血管の拡張は、血流が悪くなった頭皮の毛細血管にも及び、血流を改善します。送り込まれた新鮮な血液から栄養を得た毛乳頭は、アデノシンを分泌します。
アデノシンは、育毛促進因子(FGF-7)と、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を産生します。育毛促進因子(FGF-7)は、毛母細胞による毛髪生成や毛髪の成長を促します。血管内皮細胞増殖因子(VEGF)は、新たに血管を作り血流の改善を促します。
どちらも丈夫で太い毛髪を作るには欠かす事ができませんが、薄毛の方の頭皮はこれらの因子が不足しがちです。
アデノシンが分泌されることによって、毛髪を作り育てる機能が改善され、本来の力を取り戻せるのです。

日本皮膚科学会による脱毛症診療ガイドラインでも、ミノキシジル(塗布薬)の効果はAGA治療薬プロペシアフィナステリド)やザガーロと同等と認められています。

ちなみにミノキシジルは、プロペシア(フィナステリド)やザガーロとは全く異なる作用機序です。もしプロペシアやザガーロの効果に不満を覚えておられるなら、ミノキシジルとの併用をご検討ください。

経口薬のミノキシジル(通称:ミノキシジルタブレット)は副作用等のリスクが大きく、AGA治療薬として服用することは認められていません。降圧剤としても国内未承認薬です。必ず塗布薬(5%)をご利用ください。

<参考>
  • 第245話:未承認薬で健康被害
  • 第243話:ミノキシジル服用は“要注意”